
- 老舗農家の立て直しを決意して就農
レモン栽培は直感的なひらめきで始めました -
私が就農したのは昭和60年、23歳のときです。当時、わが家は農業において儲からないといわれていた二大作物、稲作と露地栽培の温州みかんを手がけていましたので、家計は火の車。それを何とかしたいと思ったのが就農した理由です。大学時代は農業技術とあまり関係のない農業経営を学んでいたのですが、幼いころから自然とふれあうこが大好きで、一日中昆虫を見ていても飽きない性分でしたので、果樹園で黙々と仕事をすることは自分に合っているとも思っていました。
まず手がけたのは、露地みかんより付加価値の高いハウスみかんの栽培でした。手ごたえは感じたのですが、その後オレンジの輸入自由化が決定。「みかん栽培だけでは、今後難しくなるな」と思い悩みました。そんなとき目に入ったのが、家の庭の片隅に植えてあった1本のレモンの樹だったんです。第六感としか言いようがないのですが、「これだ!」と直感したんですよ。それまで自然に親しむ中で磨かれた感性が導いてくれたように思います。平成5年、2アールのハウスを新設し、レモンの苗を100本購入して栽培を始めました。